スクリーニング調査はどのようなサーベイでももっとも重要な部分であるにもかかわらず、軽んじられたり、不必要と見なされることがよくあります。この勘違いをしないようにしましょう。サーベイを受けてもらうべき有識者を特定するために確実なスクリーニングセクションを設計することは、時間をかけるだけの価値があります。
不適格な回答者を除外するためのスクリーニングセクションはどのように設計すればよいのでしょうか。もっとも確実なのは、ファネルアプローチを使用することです。ファネルアプローチでは、まず幅広いカテゴリーの質問から始め、徐々に絞り込みながら求めている回答者を限定できるまでフィルターをかけていきます。単刀直入にメイントピックに入るのは良い考えとは言えません。まずデータを歪める可能性のある回答者を除外することから始めましょう。
例えば、対象となる回答者が医療機器のマーケティングディレクターだとした場合、「マーケティングの意思決定」という質問から始めるのは唐突だと感じるはずです。そのような方法では回答者のサーベイの受け取り方に影響を与えてしまい、回答の質に影響を与える可能性があります。
次に、ファネルアプローチでカバーすべきカテゴリーをいくつかご紹介します。
業界:業界の質問は、理想的な有識者を特定する精度を高めます。
地理:国、地域、都道府県、または統計上の地域区分を問うものです。この質問により、地理的な結果を分析することができます。
企業特性(ファーモグラフィクス):フルタイム従業員数、年間売上高などを質問することで、必要な分布を得ることができます(例えばフルタイム従業員数が1000人以上と未満で50%ずつにするなど)。これにより、どのようなタイプの企業からの視点なのかが分かるようになります。
機能/役割:同じ職種でも様々な肩書きがある場合、肩書きのバリエーションを定義する質問をいれることで、ふさわしい回答者を逃さないようにすることができます。
職務:肩書きだけでは、その人の日常の職務内容は分からないものです。職責に関する質問をすることで、意思決定者からインサイトを得ることを確実にすることができます。
精通分野(販売会社/ブランド/商品/その他):この質問を通じて、回答者が当該製品を知っているか、またはすでに使用したことがあるかを知ることができます。この質問をスクリーニングセクションの最後に入れることにより、より詳細な情報を得ることができます。
特定の分野やセクターについて、回答者の知識レベルを把握することが重要な場合があります。これらの質問をすることによって、その回答者に必要な知識があり、そのテーマに言及するにふさわしい経験があるという信頼を得ることができます。
優れたスクリーニングのための質問とは?
スクリーニングのためのよい質問とは、正直な回答を引き出し、サーベイの長さにほとんど影響しないことです。例えば、業界や地理に関することは簡単に答えられます。スクリーニングのための質問構成を標準化することで、回答者がサーベイに回答するスピードを向上することができます。
また、スクリーニングのための質問は割付の機会も提供します。割付は、あらかじめ設定された分布を保ったまま、セグメントごとの回答者数をモニターするためのものです。例えば、もしあなたのサーベイが、医療機関のマーケティング意思決定者と個人病院のマーケティング意思決定者50人ずつをターゲットにしている場合、一方の対象で指標を超えないようにするために割付が重要になります。この質問をスクリーンセクションから除外すると、サーベイに参加する回答者をモニターする際に大きな課題が生じます。
良いスクリーニングのための質問は、不適格な回答者を除外しつつ、適切な回答者の条件を定義するのに役立ちます。データカットに用いられる人口統計学的または企業統計学的情報を収集する質問は、スクリーニング基準に含めてはいけません。これらの質問は、サーベイの最後で使用することによって、基準を満たさない回答者がサーベイの中に紛れ込むのを防ぐ効果があります。
時には、ターゲットにするのが難しい重要な基準もあります。その場合、スクリーニングセクションは最も適格な有識者だけが通過することを保証するための追加措置として機能します。
バイアスを解消する
スクリーニングのための質問構成が拙劣な場合、結果に偏りが生じる可能性があります。明確で公平
な質問を作成するためには、まず、生じうるバイアスのタイプを理解することが必要になります。
- 誘導的な質問
選択肢のうちどちらが適切か回答者が判断できる場合、「 はい」/「いいえ」で答えられる質問は誘導的な質問になり得ます。回答者に選択肢のリストを提示する方が良いでしょう。例えば、「あなたはヘルスケアマーケティングを知っていますか?」と質問するのではなく、「次のうち、どの分野について精通していますか」と聞いてみましょう。 - ダブルバーレル質問
一度に複数の質問をすると、混乱が生じ、質の悪いデータになりかねません。例えば、「あなたは現在、デジタルプラットフォームを監督するヘルスケアマーケティングのディレクターですか?」という質問では、ポジション、現職、職名、プラットフォームの知識のすべてを一度に聞いてしまっています。代わりに、これを3つの質問に分けて、現職、職名、プラットフォームの知識を別々に質問しましょう。 - 推薦広告文
推薦広告文は、回答者に依頼企業や調査内容、また依頼企業が求めている情報を紹介することになりかねません。紹介文を使用するのは問題ありませんが、それをスクリーニングセクションに入れるのには問題があります。スクリーニングの質問より先に提示されると、回答者はどのように答えることが期待されているかを感じ取ってしまいます。これらの広告文は、回答者がスクリーニングセクションを通過して適格者であることを確認した後で使いましょう。
スクリーニングセクションがしっかりしていると、サーベイの本文でもよく考えられた回答を得ることができます。回答者がテーマについて精通していると、一つ一つの質問に時間をかけて答えてくれる可能性が高くなります。知識不足からくる「分からない」「答えたくない」などの不必要な答えを得るリスクを避け、適格な有識者から包括的な回答を収集できるよう、適切なスクリーニングを行いましょう。
スクリーニングのための質問は、質の良い回答と調査に役立つデータを得やすくするためのものです。詳細なスクリーニングを作ることに時間をかければ、分析にかける時間を短縮することができます。
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