調査分析を支援してくれるようにサーベイを設計する
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サーベイが完了し、データを分析し始めたとします。これは楽しみであると同時に大変な作業でもあります。ピボットテーブルや、エクセルやSPSS(分析ツール)のカスタムフィールドの定義に頭を抱えることもあるかもしれません。1つのタイプの回答者が多すぎることはありませんか? 数値回答が業界の標準と比べて大きくずれていませんか? これらはすべて、どこを見るべきかが分かれば初期段階で解決できる問題です。
分析での些細な困難や混乱に対処するために、サーベイに組み込むことのできるツールはたくさんあります。以下は、サーベイが完了して分析を開始したときに、時間を無駄にしたり頭を悩ませることのないよう、サーベイ設計のフェーズで考慮すべき重要な項目です。
隠れた変数
これはデータセット中に存在する分類または変数のことです。回答者はサーベイの始めから終わりまで目にすることはありません。これは、データセットを分析するときに大きな柔軟性を発揮します。以下に、いくつかの事例をご紹介します。
- マッピング
グローバルサーベイに国に関する質問を入れ、地域ごとの違いを比較したいと考えているとしましょう。この場合、マッピングを使用すると、バックエンドで地域の変数をセットアップすることができます(例:米国、カナダ、メキシコを北米と比較する)。 - グルーピング
経済の見通しを地域と業界で比較したいと考えているとしましょう。この場合、データセットの中で地域や業界でフィルターをかけるのではなく、最終データでそれらを組み合わせて1つの変数にすると、分析プロセスのスピードアップができます。グルーピングは、関心のあるセグメントを分析するためのプロファイルとして回答者のタイプをカテゴライズするのに役立ちます。 - 計算
回答者にさまざまなブランドの市場価格の回答をしてもらっており、回答データの中に平均価格のデータを追加するためにサーベイを行う必要があるとしましょう。この場合、回答者がサーベイで提供した指標に対して、平均値、中央値、またはその他の複雑な関数をプログラミングすると、データ分析に費やす時間を削減できます。
戦略的な回答選択肢
適切な質問とそれに対する回答選択肢を用意することは、サーベイの出だしでつまずかないための重要な要素です。適切な方法で戦略的に設計された回答選択肢は、バックエンドでの分析に役立ちます。
- 基本の回答選択肢
些細だとみなされるようなことが、分析の質に大きな影響を与えることがあります。クライアントが特定の指標を要求している場合、質問の選択肢がその答えを導き出せるものであることを確認する必要があります。例えば、中小企業、大企業、などの捉え方などがそれぞれ異なることがあります。各自の考えではなく、具体的な指標を用意するようにしましょう。 - カギとなるマーケットセグメントを特定する
顧客の事業領域に基づいて、主要なマーケットセグメントを考えていますか? 必要としているセグメントが、業界を問う質問の中に反映されるようにしてください。例えば、「製造業」と一言で言っても、その分野はとても広範です。代わりに、航空宇宙産業、自動車部品産業、工業製品などを選択肢に入れる必要はないかを検討してみてください。
割付
サーベイの設計をしているときは常に、最終のレポートのことを念頭に置いておいてください。分析の戦略やストーリーを練るために必要とされるデータカットについて考えるのは、とても大切なことです。
割付を行うことで、集計ベースのサイズが要件を満たすようにします。割付を設定することで、進捗状況を監視し、必要に応じて割付の回答者をすばやく調整できるようになります。
割付の一般的な使用事例には以下のものがあります。
- 業界別の最低販売ノルマの設定
- 売上高の内訳
- フルタイムの従業員数
- 特定のソフトウェア/ベンダーの使用状況
フラグ
フラグは、データの「チェック」機能として働くようにプログラミングコードに含めることができる便利なツールです。フラグはサーベイのバックグラウンドで機能し、妥当性と品質のチェックをサポートします。サーベイにフラグを含めると、時間を節約し、データが矛盾しないようにすることができます。
1.バリデーションフラグ
サーベイを実施すると、ある時点で、矛盾のあるまたは不完全なデータに遭遇することがあります。サーベイの設計はサーベイのベストプラクティスに従っており、スクリーニングセクションを設け、質問を明確に記述し、評価グリッドの数を制限しています。しかし、データを分析し始めると、何かが間違っていることに気がつくのです。
例えば、サーベイで新しい商品の価格最適化に関する質問をしていたとします。自由回答式の質問をレビューしたところ、「高すぎる」のデータ値が、「適切」とするデータ値よりも小さいことに気づきました。このような場合、バリデーションフラグが「高すぎる」の質問に組み込まれていれば、「高すぎる」としたデータ値がそれより前に回答された「適切」のデータ値より大きいことを確認できます。回答者がサーベイに答えている最中に、回答が矛盾していることをリアルタイムでエラーメッセージとして表示することができれば、次の質問に進む前に回答を修正してもらうことができます。
バリデーションフラグは、時間を節約し、バックエンドでのデータに関する懸念を抑えるのに役立つため、無視することはできません。
2.クオリティチェックフラグ
正しい方法で品質チェックを行うことで、サーベイデータをクリーンかつ使いやすい状態で保存できるようになります。データのレビューを合理化し、迅速化するために、サーベイに直接フラグを設定してください。短納期の場合、データレビューのプロセスを合理化するためにあらゆる手段を講じたいものです。クオリティチェックのフラグを含めることは、データをクリーンかつ使いやすい状態にするために役立ちます。
一般的なクオリティチェックのフラグには、以下のようなものがあります。
- スピードフラグ:3分の1または中央値より短い時間でサーベイを完了したときにフラグが作動
- ストレートライニングフラグ:グリッドでの回答で、回答が「直線」に並ぶ傾向が強いときにフラグが作動(例:マトリックス上のすべての行で「強くそう思う」を選択している場合)
- 自由回答形式:意味不明な回答が記入されたときにフラグが作動。いくつかのプログラミングのプラットフォームが「支離滅裂」な記述を特定してフラグが作動
- 同じようなデータの再確認:サーベイを進めるうち、回答者が類似した、または同じ質問に対して異なる答えを出したときにフラグが作動
ここで重要なのは、回答者がクオリティチェックのフラグに1つ引っかかったからといって、必ずしも自動的に排除すべきではないということです。サーベイを通して複数のフラグを設定することが推奨されています。もし回答者が複数のフラグを立てた場合は、そのデータを確認し、必要に応じて削除するようにしましょう。
最後に、上記の項目をサーベイ設計に含めることで、分析を迅速化し、クリーンなデータを維持し、合理的な分析をサポートすることができます。このような大変な作業を前もって行うことで、バックエンドの作業に大きな効果をもたらします。これらの簡単なステップに従うことで、結果につながるサーベイデータを獲得しましょう。
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