BtoBフォーカスグループとは?

BtoBフォーカスグループとは?

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BtoB(企業対企業)のフォーカスグループとは、製品や市場、戦略的な重点分野などに関するインサイトを得るために、有識者の反応、意見、考えを調査する、少人数のパネルで構成された調査手法です。経験豊富な定性調査のモデレーターが事前にセッションの内容を準備し、ディスカッションガイドを使用して参加者を導きます。一連のトピックや質問を通じて、参加者に活発な議論を促し、調査の目的を達成します。

BtoBフォーカスグループは、ビジネスにおける意思決定者の態度、意見、ニーズ、購買プロセスを理解するために設計されており、製品開発やプロダクトマーケティングに関する定性的なインサイトを集めるのに適しています。このようなインサイトは、新しいアイデアや製品機能、またはパッケージングやマーケティングメッセージなどの新しい方向性を決定するのに役立ちます。BtoBフォーカスグループの一般的な目標は、ターゲットオーディエンスに最も反響の高い製品やメッセージを生み出す方法を理解することであり、時には市場で満たされていないニーズ(アンメットニーズ)を特定し、それを満たす製品アイデアに変換することです。

BtoC(企業対消費者)グループが、製品やサービスの個人的な使用における意見や感想を共有する場であるのに対し、BtoBフォーカスグループは、ビジネス上のニーズに対するソリューションとして製品やサービスを使用するという観点で、有識者のフィードバックや見解を得る場となります。

 

対面式フォーカスグループ

対面式のフォーカスグループは、物理的な刺激、たとえばプロトタイプ(試作品)を参加者に実際に使用してもらったりする場合に非常に有効です。そうすることで、参加者同士の会話や、プロトタイプを使用する様子を直接観察することができます。さらに、BtoB向けの対面式フォーカスグループでは、まだ市場に出回っていない機密性の高い製品デザインなども安全にテストすることが可能です。参加者はプロトタイプを持ち帰ることができず、写真撮影なども制限されるため、情報漏洩の心配が少なくなります。

 

オンラインフォーカスグループ

居住地を制限しない場合、または地理的に離れた人々への調査には、オンラインでのBtoBフォーカスグループが最適な選択肢となります。たとえば、あるソフトウェア会社がマーケティングキャンペーンを検討する際に、人事やIT部門の意思決定者を募集する場合、参加者の居住地を特定の地域に限定することは望ましくありません。多くの場合、BtoBフォーカスグループは、通常では参加が難しい人々を必要とします。オンライン形式を採用することで、高い専門性をもった有識者の参加機会を増やし、より多くの意見を集めることを可能にします。

また、オンラインのフォーカスグループは、対面式と比べて、時間とコストの面でより効率的であることが一般的です。パネリスト(参加者)への負担が少ないため、リサーチ担当者がパネリストのソーシングやリクルートに費やす時間が少なくて済みます。謝礼額も対面式より抑えられることが多く、旅費などの経費も発生しません。

フォーカスグループの比較

 

BtoBフォーカスグループの実施目的とタイミング

単一のフォーカスグループでも重要なインサイトは得られますが、複数のフォーカスグループを実施し、その結果を比較できるようにするのが効果的です。企業のマーケティングキャンペーンをたった1回の5人のフォーカスグループだけで決定するのは避けたいところです。また、1回のみのBtoBフォーカスグループの実施では、十分なインサイトが得られない場合もあります。

調査目的に応じて、BtoBフォーカスグループはプロジェクトのライフサイクルのさまざまな段階で実施することができます。フォーカスグループは、製品やサービスに関する意思決定の背後にある「理由(なぜ)」を明らかにするのに役立ちます。特に、リサーチプロセスにおけるアイディエーションの段階(新しいアイディアを生み出し形成する段階)で効果的であり、検証(サーベイ)に移る前に意見をまとめることができます。このサイクルは一過性のものではなく、常に繰り返し行うことで、貴社に関連する最新のインサイトを得ることが可能になります。

BtoBフォーカスグループを成功させるための重要なポイントの一つは、調査を依頼している企業名をブラインドにすることです。匿名性を保つことは、パネル(参加者)の過去の経験や認識に基づくバイアスを排除し、率直な意見を引き出すために重要です。もしパネルが事前にどこの企業が行っている調査なのかを知っていると、その企業について批判的な意見を避ける傾向があります。しかし、調査を行っている企業の名前を伏せることで、パネルはよりオープンに意見を述べ、トピックについてより客観的に考えることができるようになります。ブラインドではないフォーカスグループでは、パネルがどの企業について話しているかを知っているため、バイアスのかかっていないインサイトが得られない可能性があります。

最後に、BtoBフォーカスグループを成功させるためには、熟練した経験豊富なモデレーターを選定することが最も重要です。モデレーターは、話し合いを効果的に誘導し、参加者を話題に集中させるだけでなく、公平で偏見のない態度で、自然な会話からインサイトを導き出す役割を果たします。

フォーカスグループの事例

BtoBフォーカスグループの必要性

BtoBフォーカスグループは、専門性の高いターゲット向けの製品やサービスを提供する企業にとって理想的な手法です。オンラインでも対面でも、フォーカスグループを通じて、リサ―チ担当者は特定の市場の意思決定者や影響力を持つ人々と、直接かつ個人的にコミュニケーションをとることができます。適切に実施されたフォーカスグループは、製品開発やメッセージ戦略のロードマップに不可欠なインサイトを提供します。


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