顧客の価値観に基づく価格調査:コンジョイント分析とは何か?

顧客の価値観に基づく価格調査:コンジョイント分析とは何か?

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コンジョイント分析は、現在のマーケットリサーチにおいて最も汎用性が高い手法の1つです。価値観に基づく価格調査において最も強力な形式の1つであるコンジョイント分析は、機能とメリットの最適な組み合わせを決定する目的と合わせて、新製品や新機能の価格を設定するためにもっともよく使用されます。常に変化する顧客のニーズに合わせる必要がある既存の製品やサービスにも用いることができます。

コンジョイント分析は、商業分野でのマーケットリサーチに加え、大学、心理学、生命科学の調査でもしばしば使用されます。また、過去10年間、米国における訴訟(ソフトウェア特許に関するアップルとサムスンの法廷闘争など)において科学的証拠として受理されてきました。

コンジョイント分析とは?

価格調査のためにコンジョイント分析を行うときは、製品を構成要素に分解します。例えば、多くのブロックでできたレゴハウスのように。ただし、構成要素とは、例えばレゴハウスにおけるブロックの単位ではなく、壁、屋根、ドアなどの単位です。コンジョイント調査において、回答者は複数の家の中から好みの家を選びます。回答者が選んだ家の中から、各構成要素の知覚価値を導き出すことができます。そして、仮説に基づく新しい構想を作り、顧客の好みをシミュレートします。

1.製品を構成要素に分解して考えます。構成要素には、競合企業や将来の機会なども考慮します。
2.構成要素を組みなおし、回答者に仮想の製品や製品コンセプトの中から好みを選択してもらいます。
3.これらの選択の中から、各構成要素に対する知覚感覚を定量的に導き出します。
4.仮説シナリオでは、仮想の新コンセプトを構築し、顧客の嗜好度合いをシミュレーションします。

コンジョイント分析の目的は、今日の状態でどの製品が選ばれるかを理解することではありません。この目的を達成するのには、より適したデータソースがあるでしょう。コンジョイント分析の目的は、むしろ、仮説に基づく新しい状況で、顧客が何を選択するかを知ることです。重要なのは、経験に基づく先見性です。また、コンジョイント分析では、許容価格や購入意欲について直接聞くことはありません。価格は、製品の多くの特性の中の1つにすぎません。回答者が、調査の目的が価格設定であることを知ることはありません。また、調査や関心の対象が1つのブランドであることも、回答者が知ることもないでしょう。

価値観に基づく価格調査

1つの例をご紹介します。ノートパソコンに関してコンジョイント調査を行うとします。回答者は、ノートパソコンに関する3つの構想が提示され、最も購入したいと思うものを選択するよう求められます。調査には10~15件の質問が含まれます。多くの回答者の選択結果から、回答者にとって最も価値があるのはどの部分なのかを導き出すことができます。

例えば、999ドルのノートパソコンが、他の8つの製品とどのように競合しているかに関心があるとします。マーケットシミュレータは、このノートパソコンが好まれる率、つまり、サンプル回答者のうちこの製品を選択する人の割合を15.8%と計算します。価格を899ドルに変えると、この割合は1.2% 上がります。799ドルでは、さらに2.5%上がります。このようなシミュレーションにより、製品とそれぞれの価格増加分の需要曲線と弾性値に加え、価格に対する反応を表す曲線を作成することができます。また、他のどの製品が失敗するかも分るでしょう。

購入意欲の特定

コンジョイント・シミュレーションは、1つの機能に対する顧客の支払い意思を測定したい場合にもとても役立ちます。例えば、調査対象のノートパソコンにメモリを追加すると製品の価値が高まり、好まれる率が18.8%まで上がります。メモリ容量がさらに大きく90ドル高いノートパソコンと比較すると、追加メモリの付加価値は90ドルであると推測することができます。このインサイトは、次世代の製品を開発する際に優先する機能や価格設定方法など、多くのビジネス上の意思決定に有用です。

コンジョイント分析の真価は、わずか数問の質問で、嗜好と知覚価値に関する比類ない量の情報を得られることです。

コンジョイント分析は、特に、企業が価値の創造や獲得が必要な場合に効果を発揮します。新規顧客を獲得し、既存顧客を維持したい場合は、付加価値製品を開発する必要があります。コンジョイント分析は、顧客の立場から見て価値があるものを正確に示すため、それらの状況において役立ちます。また、付加価値を得ようとする場合、顧客の許容価格を明らかにすることにより、価格変更が市場の製品需要にどう影響するかを示します。

価値の創造と獲得は全ての企業にとって関係しますが、動きの激しい環境で意欲的な成長目標を掲げる企業にとって特に重要です。これは、変化し続ける顧客ニーズにすばやく適応する必要があり、この目標を達成するためにさまざまな戦略を取ることができるためです。新しい製品やサービスを提供する他社を買収することもあれば、自社の研究開発力でイノベーションを起こすこともあります。いずれの場合も、顧客のその資産への知覚価値を最大化する方法を把握しておく必要があります。

また、多くの企業は常に価格を下げようと交渉する顧客に悩まされているため、ブランドの知覚価値を損なうことなく削減できるコストと省略できる機能を把握することは役に立ちます。プレッシャーは、社内からだけではなく、値下げや技術革新を行う競合他社からもかけられています。どの様な選択肢があるかを理解し、競争圧力への対応が市場のパフォーマンスにどのような影響を与えるのかを知ることは非常に重要です。コンジョイント分析が人気なのは、これらの問題に対応し、ビジネス上誤った決定を下すリスクを抑えるためです。

コンジョイント分析は、製品および価格戦略の指針となり、顧客のニーズや嗜好に関する基本的なインサイトをもたらしてくれます。コンジョイント分析の結果は、機能や製品メリットの優先順位付けや、顧客の価格感応度を知るために利用することができます。

コンジョイント分析で得たデータと顧客に関するインサイトにより、採算の取れる成長に向けた計画が可能になります。また、分析データは、価格設定とイノベーション管理の進め方についての詳細な見解となります。これは、価格とイノベーションの管理、次の製品の開発段階への効率的な移行方法、および、社内のステークホルダーや社外のパートナーをどのように巻き込み、導いていくかに影響を与えることもあります。

これらのインサイトは全て、多くの意思決定者が市場競争力を維持する上で、大いに役立ちます。


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ベルント・グローサーローデ氏について

ベルント・グローサーローデは、GLGの新製品開発および価格調査のサービスをリードしています。重視しているのは、イノベーションと最適化による企業価値とブランド価値の構築です。20年以上のマーケティングリサーチ経験があるベルントは、より優れた、より採算の取れる製品の構築に関して多くのグローバル企業と仕事をしてきました。GLGに入社する前は、カンター社の価格設定およびポートフォリオ管理のグローバル部門長を務めていました。


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