価値観に基づく価格設定を正しく行うことは難しいが、その価値はある

価値観に基づく価格設定を正しく行うことは難しいが、その価値はある

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適切な価格を設定することは容易ではありません。バリューベースプライシング(価値観に基づく価格設定)は、ブランドの価値をいかに最適に収益化するかに重点を置いています。それに比べ、よく使われるコストプラスアプローチは、製品のコストに一定率をマークアップ(上乗せ)して収益化するものです。

バリューベースプライシングが機能するのは、マークアップが顧客の認識する価値を反映している場合です。そのためには、自社の製品が顧客や見込み客にとってどのような価値があるのかを包括的に知る必要があります。顧客は、40ドルや80ドルの割増金を支払っても構わないと思うかもしれませんが、競合製品との有意な差が見いだせなければ、それ以上は出さないでしょう。


GLGウェブキャスト:バリューベースプライシングのための最先端リサーチツール

このGLGウェブキャストは2021年4月13日に録画されました。


価格設定のインサイトは把握し難い

バリューベースプライシングは、価値観に基づく製品開発と密接に連動していなければなりません。企業は、顧客が何に価値を見出すかを明確に理解した上で製品を開発し、製品の資産価値をよく理解した上で価格をつけるべきです。もし顧客がこれらの資産価値に気づかなければ、それは単に存在しないことになります。したがって、顧客が認識する価値、すなわち顧客の支払い意欲は、最も重要な情報です。それはまた、最も把握し難いものでもあります。

支払い意欲に関する信頼できるデータを見つけることは容易ではありません。市場で体系的に価格実験をする手段と意志を持つ企業はごくわずかです。過去の販売数もここでは役に立ちません。それは、顧客が過去にどのような価格を受け入れたかは示していますが、他のシナリオで顧客が支払ったであろう価格や、将来支払うであろう価格については示していません。また、顧客に直接尋ねることも難しいです。多くの顧客は、支払っても構わないと思う価格よりも低い価格を提示するでしょう。

顧客の支払い意欲に関する信頼できるインサイトを得たとしても、その情報はすぐに有効でなくなる可能性は高いです。パンデミックが、人々の旅行やオフィススペースに対する支払い意欲をどう混乱させたか、あるいは、クラウドコンピューティングのようなテクノロジーが、企業のソフトウェアやインフラに対する支払い意欲をどう混乱させたかについて考えてみてください。こうした変化や混乱は、買い手が何を意味のある資産と認識するかに影響を及ぼし、企業は、今日の価値観に基づく価格が今後1、2年安定的に維持されると確信することはできません。

価格調査は努力する価値がある

賢いバリューベースプライシングは成功につながる可能性が高いため、ほとんどの場合、顧客に関するインサイトを得る努力に見合う価値があります。しかし、賢い価格設定には、顧客を観察し、彼らが何を望み、何に支払う意思があるのかを深く調査する必要があります。この調査から得られたインサイトを活用することで、最適化された製品およびサービス、適切な機能、メリットの開発、そしてもちろん、最適な価格の設定をすることができます。また顧客インサイトは、適切な支払いモデルで価値を獲得するために、ビジネスモデルや戦略を修正および変更するのに役立ちます。

効果的な価格調査に向けて:PSM分析

価格調査は、単にサーベイで価格受容性を尋ねて、製品に値札を付けるだけではありません。製品開発およびライフサイクル全体を通して、顧客が製品、メリット、機能の価値をどう認識するかを考慮します。

顧客の支払い意欲を見極めるには、2つの方法があります。1つ目は、製品開発、特に初期の製品開発における価格感度を把握するためのシンプルで素早い方法です。2つ目は、より複雑で非常に強力な方法です。それはイノベーションのためのアプローチであり、製品および価格を共に最適化するためのアプローチです。

最初の方法であるPSM分析(ファン・ウェステンドルプの価格感度測定法)は、払っても構わない価格について直接尋ねるものではありません。それは重要な価格のしきい値を特定するものです。回答者は価格の範囲を重要な領域に分割します。サーベイでは、商品やサービスのコンセプトを紹介し、次のような質問をします。「あなたは、この商品がどの程度の価格であれば、品質を疑うほど安いと思いますか?それとも高すぎて買わないと思いますか?」新しいアイデアに対する顧客の価格感応度に関するこのようなインサイトは、多くの場合、イノベーションの初期段階では十分に役立ちます。この初期のインサイトは、製品開発および価格設定を最初から整合させるのに役立ちます。

このような初期のインサイトを得ることは、必ずしも難しくなく、費用もかかりません。留意して欲しいのは、この方法は複数のコンセプトをテストするのにはお勧めできないということです。例えば4つのアイデアがある場合、同じサーベイで4つの質問を続けてするのは避けるべきです。顧客が認識する付加価値の実際の構成要素とは何なのかを理解したい場合、あるいは製品ポートフォリオの価格体系を最適化したい場合は、より良い方法があります。

効果的な価格調査に向けて:コンジョイント分析

コンジョイント分析(離散選択モデル)は、サービス、自動車、電子機器、ソフトウェアなど、業界をまたいで非常に人気があります。コンジョイント分析は、人々が製品を購入する際に行う選択を正確に説明し、予測することができるため、多くの企業がこの手法を定期的に使用しています。

コンジョイント分析は、製品だけでなく、オプション機能の価格設定にも使用できます。新製品開発においては、最適な機能とメリットの組み合わせを決定するために使用できます。また、顧客ニーズの変化に対応する必要がある既存製品にも最適です。

では、それはどのように機能するのでしょうか?レゴでできた家のように、製品を構成要素に分解します。コンジョイント調査では、回答者はレンガや屋根やドアを評価するのではなく、複数の家の中から好みの家を選ぶことになります。回答者が選択したものから、レンガ、屋根、ドアの知覚価値を導き出すことができます。これらの知覚価値から、仮説シナリオを作成し、仮想の新しいコンセプトおよび製品を構築し、顧客の嗜好度合いをシュミレーションすることができます。

コンジョイント調査では、直接質問するのではなく、ただ人々に選択をしてもらいます。彼らはおそらく、これが価格調査であることさえ知らないでしょう。彼らはただ、製品間で自分の好みを表現しているだけなのです。

これらすべての目的は、顧客が仮想の状況で製品をどのように選択するかを学ぶことで、現在の製品間で顧客が行う選択を把握することではありません。

単にデータを持っているだけではなく、データから学ぶには、根本的なビジネス目標を完全に把握する必要があります。ジョン・レノンとポール・マッカートニーのように、両者は互いに補い合います。方法論の専門知識と対象分野の知識を効率的で実りある方法で結びつけることは難しいですが、努力する価値は十分にあります。


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ベルント・グローサーローデ氏について

20年以上のマーケティング・リサーチの経験を持つベルント・グロセローデは、より強力で、より収益性の高い製品を構築するため、多くのグローバル企業と協働してきた。彼の専門分野は、選択モデリング、セグメンテーション、その他の高度な分析ツールである。GLG入社以前は、カンター社の価格設定およびポートフォリオ管理のグローバル部門長を務めていた。ドイツ、ハンブルグに拠点を置く。


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